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アンティークミシンの見分け方:ベッド編

2008-07-15 (Tue) 00:05
アンティークミシンの時代の見分け方を少々。

現代の誰もがミシンだなーと思うような形状に収束しだすのは、1870年頃にシンガーがNew familyをリリースしたあたりだと思います。
それまではアールヌーボーの影響だと思われる植物や動物の曲線を思わせる形状で、全て鉄のもの、いわゆる猫足のような足が生えているもの、などとてもミシンとは思えない形がありました。

ミシンの形をしだしてからの時代の見分け方を、今回はベッドの形で解説します。
ベッドとは下の写真で言うと、生地を縫う場所の、黒い鉄の部分です。
例外もありますが、まず今に近い時代から、より古い形で順に並べてみます。

■長方形のベッド(Rectangular bed)
アンティークミシン 名称1 ベッド
ベッドが長方形もしくは長方形の角が丸くなった形のミシンは、1900年頃では主流でした。以降はずーっと四角です。
というよりむしろ何で初めから四角ではなかったのか、というのも疑問ですが。

それより古い形は・・・
■フィドルベース/フィドルベッド(Fiddle bed)
アンティークミシン 名称1 ベッド2
文字通り、バイオリン形のベッドです。この形のミシンはだいたい1800年代19世紀ものでしょう。
初めて見たときは「へーかわってるなー!」と感動しました。
アールヌーボーの影響を受けた形なのでしょうね。この当時は裕福な有産階級しかミシンを持っていなかったと考えると、このデザインも納得がいきます。
アンティークミシン フィドル型
当店お客様のシンガー12K
このタイプでもっとも有名なのは、写真のシンガー12K(Singer New Family)と呼ばれるものです。多くのミシンメーカーがこのミシンのデザインを真似たそうです。
ちなみに上2枚の中央に鳩があるミシンは、オペル(Opel)のミシンです。オペルはあの外車メーカーのオペルです。オペルも実はミシン生産から大きくなった会社だったのです(またこの話は今度・・・ネタができた♪)

■鉄脚のミシン
アンティークミシン 鉄足型
ベッドの形と言うより、ミシン自体に木が使われていないのが特徴のミシンです。このタイプのミシンはフィドルベースのミシンの時代と同じ頃のものか、もっと古いものです。フィドルベースで全部鉄、というのもあります。
この時代のものになると、状態が悪かったり、シャトルがなかったりと完璧なものを見つけるのが極端に困難になります。
その理由は、時代の古さと生産量がずっと少なかったためです。
この時代のミシンは、写真のものはまだミシンらしい形をしているもので、定型というのはないと言ってもよいです。
英国王妃が愛用したミシンや、日本で初めてと言われる篤姫さんが使ったミシンなど、魅力的な形のミシンが色々あります(この辺りも今度ネタに・・・)

もっと古くなれば、もはや骨董的価値というより学問的価値に近づいて博物館クラスになっちゃいますので、個人の手の届くものではないですね。

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