アンティークミシンメーカー Jones
2009-01-22 (Thu) 22:52

ジョーンズファクトリー(The Jones Factory) 1930年頃
ジョーンズ社の創始者であるウィリアム・ジョーンズ(William Jones)がミシンの製造を始めたのは1859年で、翌1860年にはトーマス・チャドウィック(Thomas Chadwick)との共同経営をはじめました。当初、彼らはイギリスのアシュトンアンダーライン(Ashton-under-Lyne)で会社名をChadwick & Jonesとしてミシンを製造していました。この共同経営の期間は実は短く、1864年1月にはトーマス・チャドウィックがジョーンズを離れ、同じくイギリスのブラッドベリー(Bradbury & Co)に参加しています。
1869年にはウィリアム・ジョーンズはマンチェスター近郊のガイドブリッジに新工場を建設し、1879年7月5日に法人組織になりました。その後ジョーンズは長く厳しいミシン産業界を生き抜き、現在では日本のブラザーに買収されBrother UK Ltd.として営業を続けています。
このジョーンズ社は家庭用から工業用ミシンまで幅広い種類のミシンを生産しました。
さらにジョーンズのミシンをいくつかご紹介します
ジョーンズハンドソーイングマシン

このフォルムが魅力的なミシンはジョーンズハンド(Jones hand)と呼ばれ、1879年から生産が始まったと言われています。
この機種は、当時の英国第一皇太子妃アレキサンドラが使用し、ジョーンズハンドを絶賛したことが知られています。そのため、ジョーンズのミシンは王室御用達のような扱いになり、本機種のクロスプレート上には、英国王室がジョーンズハンドを称えた印である'As supplied to H.R.H. The Princess of Wales'の刻印がされています。

H.R.HはHer Royal Highnessの略で、王族のみに許される称号です。The Princess of Walesは英国王室の第一皇太子妃を意味する言葉です。

ジョーンズハンドには主に3種類、細かく分けるといくつかの種類があります。
プーリーには切り溝がありますが、当時はここにベルトを通して足踏みミシンとしても使用していました。
ジョーンズ・ファミリー C.S.(Jones Family C.S.)

ジョーンズ・ファミリー C.S.(Jones Family C.S.)は1893年から生産が始まり、1930年頃まで柄以外のデザインがほとんど変わらなかった、長く愛されたミシンです。
ジョーンズ社はこの機種をたくさんの小売業者にOEM生産しており、その証にアーム上にいろいろなリテイラーの名前が記されています。

このミシンはジョーンズ社がthe Co-operative Wholesale Society向けにOEMで提供したミシンです。1925年頃製造されたもので、本体には美しい花柄が施されています。
これら以外にもシンガー12Kによく似たジョーンズファミリーシリーズや、丸みを帯びたジョーンズ・ミディアム・スプールなどのアンティークミシンもあります。
このようにジョーンズはたくさんの種類のミシンを生産・販売する英国随一のメーカーでした。
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